この連載の第1回「流れに任せて」と第2回「西山の義」で、西山牧場のことを書かせてもらった。時は流れて西山茂行さんは牧場を手放して、個人の名義で馬を走らせている。しかし繁殖牝馬を預託するスタイルで生産者としての夢を追い続けている。
西山茂行さんのお父上・西山正行さん(故人)と親しくさせてもらって、「牡馬クラシックを狙えそうな馬がいたら、いくら時間がかかっても構わないからお手伝い願いたい」と相談を持ちかけられた。浦河の生産組合長の牧場で生まれたミルジョージの牝馬を推薦したのが、一緒の夢を追いかけた第一歩。
生後2週間ほど経った日に見たミルジョージの当歳は抜群のバランスを誇り、母親になってから本領を発揮しそうに見えた。シスターミルの登録名で美浦の内藤一雄厩舎に入厩したものの、未出走のまま繁殖入りしてシェリフズスターを配合された。
やがて生まれた牡馬は父から芦毛の遺伝子を受け継いで、皐月賞と菊花賞の二冠を制したセイウンスカイ。自分でレースを作れる強い逃げ馬だったが、ダービーはスペシャルウィークの4着。古馬になって日経賞を勝ち、差しをマスターして札幌記念も勝っている。
正行さんが「牡馬の」クラシックと言ったのは、牝馬クラシックは1992年にニシノフラワーで桜花賞を勝っていたから。その年の暮れにスプリンターズSを勝ったニシノフラワーはスピードタイプで、1番人気のオークスは7着。残された五大クラシックレースはオークスとダービーということになる。
ニシノフラワーは当時「持ち込み」と言われた、外国で種付けされて日本で生まれた馬。母デュプリシトは快速ダンチヒ産駒で、仔出しが良くニシノフラワーと14歳差のニシノタカラヅカまで10頭の牝馬を産んで偉大な牝系の枝葉を大きく広げてくれた。
ニシノフラワーもニシノミライ(父セイウンスカイ)とニシノマナムスメ(父アグネスタキオン)の後継牝馬に恵まれている。姉のニシノミライは競走馬としては未勝利に終わり、妹のニシノマナムスメは4勝を挙げて重賞でも2着2回と大活躍。しかし繁殖牝馬になると成績が逆転。
ニシノミライは娘のニシノミチシルベがアルテミスS3着・アネモネS2着と活躍して桜花賞に出走(12着)。孫のニシノデイジーは札幌2歳Sを勝って、ホープフルSで3着。三冠レースも皆勤して(皐月賞17着・ダービー5着・菊花賞9着)、夢の続きを見せてくれた。
ニシノミチシルベが繁殖牝馬になって昨年産んだ牡馬は父がネロ、この馬は前出ニシノタカラヅカの息子なので偉大な牝祖デュプリシト3×4のインブリードを持っている。この配合パターンは「西山の夢」を追いかけるための「勝負手」で、既にデビューした1歳上のニシノピウモッソも同じ。
ニシノピウモッソの3代母はニシノフラワーの7歳下の妹・ニシノボナリー、ニホンピロウイナー→サクラバクシンオー→リーチザクラウンとスピード寄りの配合を繰り返してきた。デビュー戦は芝千二を最速上がりで追い込んで2着と好発進、2戦目も2着に頑張って初勝利は目前。来年デビューする「本家筋」も今から楽しみだ。
◆竹内康光【馬よ草原に向かって嘶け】
http://bit.ly/17MDXV7
◇競馬通信社◇
http://ktsn.jp
西山茂行さんのお父上・西山正行さん(故人)と親しくさせてもらって、「牡馬クラシックを狙えそうな馬がいたら、いくら時間がかかっても構わないからお手伝い願いたい」と相談を持ちかけられた。浦河の生産組合長の牧場で生まれたミルジョージの牝馬を推薦したのが、一緒の夢を追いかけた第一歩。
生後2週間ほど経った日に見たミルジョージの当歳は抜群のバランスを誇り、母親になってから本領を発揮しそうに見えた。シスターミルの登録名で美浦の内藤一雄厩舎に入厩したものの、未出走のまま繁殖入りしてシェリフズスターを配合された。
やがて生まれた牡馬は父から芦毛の遺伝子を受け継いで、皐月賞と菊花賞の二冠を制したセイウンスカイ。自分でレースを作れる強い逃げ馬だったが、ダービーはスペシャルウィークの4着。古馬になって日経賞を勝ち、差しをマスターして札幌記念も勝っている。
正行さんが「牡馬の」クラシックと言ったのは、牝馬クラシックは1992年にニシノフラワーで桜花賞を勝っていたから。その年の暮れにスプリンターズSを勝ったニシノフラワーはスピードタイプで、1番人気のオークスは7着。残された五大クラシックレースはオークスとダービーということになる。
ニシノフラワーは当時「持ち込み」と言われた、外国で種付けされて日本で生まれた馬。母デュプリシトは快速ダンチヒ産駒で、仔出しが良くニシノフラワーと14歳差のニシノタカラヅカまで10頭の牝馬を産んで偉大な牝系の枝葉を大きく広げてくれた。
ニシノフラワーもニシノミライ(父セイウンスカイ)とニシノマナムスメ(父アグネスタキオン)の後継牝馬に恵まれている。姉のニシノミライは競走馬としては未勝利に終わり、妹のニシノマナムスメは4勝を挙げて重賞でも2着2回と大活躍。しかし繁殖牝馬になると成績が逆転。
ニシノミライは娘のニシノミチシルベがアルテミスS3着・アネモネS2着と活躍して桜花賞に出走(12着)。孫のニシノデイジーは札幌2歳Sを勝って、ホープフルSで3着。三冠レースも皆勤して(皐月賞17着・ダービー5着・菊花賞9着)、夢の続きを見せてくれた。
ニシノミチシルベが繁殖牝馬になって昨年産んだ牡馬は父がネロ、この馬は前出ニシノタカラヅカの息子なので偉大な牝祖デュプリシト3×4のインブリードを持っている。この配合パターンは「西山の夢」を追いかけるための「勝負手」で、既にデビューした1歳上のニシノピウモッソも同じ。
ニシノピウモッソの3代母はニシノフラワーの7歳下の妹・ニシノボナリー、ニホンピロウイナー→サクラバクシンオー→リーチザクラウンとスピード寄りの配合を繰り返してきた。デビュー戦は芝千二を最速上がりで追い込んで2着と好発進、2戦目も2着に頑張って初勝利は目前。来年デビューする「本家筋」も今から楽しみだ。
◆竹内康光【馬よ草原に向かって嘶け】
http://bit.ly/17MDXV7
◇競馬通信社◇
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