不滅の金字塔!武豊、JRA通算4000勝達成!!

◆メイショウカズヒメ5代血統表
メイショウカズヒメ5代血統表


サンスポ競馬
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 天才ジョッキーが、ついに大台に到達-。日本中央競馬会(JRA)の歴代最多勝記録を更新し続けている武豊騎手(49)=栗東・フリー=が29日、阪神競馬場の第10レースをメイショウカズヒメで勝ち、JRA通算4000勝を達成した。この日一気に3勝を挙げての金字塔。「60歳まで現役」を目標に掲げるデビュー32年目のレジェンドが、日本の競馬史にまた新たな1ページを刻んだ。

 天がそのときを告げたようだった。降り続いていた雨がぴたりとやんだ阪神10レース。前人未到のJRA通算4000勝目のゴールを駆け抜けた武豊騎手は、場内の大歓声を馬上で静かに受け止めた。

 「ホッとしました。あまり自分では(数字を)意識していないんですが、多くの方に支えられ、多くの人、馬、競馬に恵まれてここまでこられて、大変うれしく思います」

 3、5レースを勝ち、『マジック1』で迎えた一戦は、4番人気のメイショウカズヒメに騎乗。大外枠から好スタートを決めて2番手につけ、直線半ばで抜け出す快勝で金字塔を打ち立てた。

 未知の領域を突き進む原動力はシンプルだ。「ジョッキーの仕事が大好きで、他には興味がない。小さい頃から憧れて、目指して、なることができた。ジョッキーじゃなくなる自分が嫌」。実績があっても常に結果が求められる世界。だからこそ、目の前の1勝にこだわってきた。

 レースで負けた後も最善を尽くす。真夏の小倉では、下級条件戦で着外になってもゆっくり歩いて引き揚げる。「これだけ暑いと馬も疲れるからね」。身に染みついた馬優先主義。関係者が「武豊が乗った後は馬が傷まない」と証言する“武豊あるある”は、ホースマンとしてのぶれない信念の表れだ。

 デビュー32年目の49歳。「(衰えを)感じないというと嘘になる。お酒が弱くなったことが一番かな」とジョークを飛ばすが、ケアは欠かさない。2010年3月に落馬事故で大けが。これを機に、個人トレーナーをつけて体幹トレーニングを本格的に取り入れた。若い頃に全くやらなかったトレーニングに励む際のテーマは『60歳まで現役』。JRA所属騎手の最年長現役記録は岡部幸雄元騎手の56歳だけに、思い描く騎手人生にとっては4000勝もひとつの通過点にすぎない。全盛期より勝利数が減っても、世界にその名を知られる“ユタカ・タケ”の存在感は際立つ。

 「明日も競馬があるので、明日のレースを勝ちたいです。早く4001勝目をしたいですね」

 金びょうぶをバックに笑顔の会見を締めくくった武豊騎手。天職の誇りを抱く孤高の天才はこれからも勝ち続ける。ファンの大歓声と期待に応えるために-。 (川端亮平)

★日で仏で大忙し!

 武豊騎手は30日は中山競馬場で騎乗。GIスプリンターズSでは前売り13番人気の伏兵ラインスピリット(栗・松永昌、牡7)とコンビを組む。次週はフランスへ飛び、「いつかは必ず勝ちたいレース」と夢見る世界最高峰のGI凱旋門賞(10月7日、パリロンシャン、芝2400メートル)にクリンチャー(栗・宮本、牡4)で挑む。

★レースで得た賞金41億円超!!

 武豊騎手の生涯獲得賞金は29日現在、835億8953万4500円。騎手の進上金は5%とされており、レースで得た賞金は単純計算で41億7947万6725円となる。

★リカルドが世界最多勝

 世界の最多勝騎手は、ブラジル、アルゼンチンを主戦場にするホルヘ・リカルド騎手(56)=ブラジル出身。今年2月に、2016年6月に引退した米国のラッセル・ベイズ元騎手(60)=カナダ出身=の持つ1万2844勝を抜いてトップに立ち、9月27日現在、1万2910勝をマークしている。地方競馬を含む日本の通算最多勝は、的場文男騎手(62)=大井=の7176勝。



武豊騎手がもつ単独のJRA記録

 ★最多騎乗 2万1237回。
 ★年間最多勝 2005年の212勝。
 ★最年少リーディングジョッキー 20歳。1989年に133勝。
 ★年間100勝以上達成回数 21回。
 ★騎乗機会連続週V 169週。96年2月10日~99年8月22日。
 ★年間最多獲得賞金 05年の44億1404万2000円。
 ★GI最多勝 75勝。88~10年まで23年連続GI勝ち。
 ★クラシック最多勝 20勝。
 ★最年少GI、クラシック勝利 19歳7カ月23日。88年菊花賞(スーパークリーク)。
 ★重賞最多勝 329勝。デビューした87年から32年連続で継続中。
 ★年間最多重賞V 05年の23勝(GI6勝、GII6勝、GIII11勝)。
 ★重賞の騎乗機会連続V 6連続。98年の産経賞オールカマーから秋華賞。6週連続も最多。
 ★1日5勝以上達成回数 47回。8勝1回、7勝3回、6勝6回、5勝37回。
 ★日本人初海外GI勝利 94年に仏GIムーランドロンシャン賞(スキーパラダイス)。




武 豊(たけ・ゆたか)

 1969(昭和44)年3月15日生まれ、49歳。京都府出身。父は騎手時代“ターフの魔術師”といわれた故・武邦彦氏。87年にデビューし、89、90年、92~2000年、02~08年に全国リーディング首位。同一年に最多勝利騎手、最高勝率騎手、最多賞金獲得騎手を受賞した騎手に贈られる騎手大賞を9回受賞。29日現在、JRA通算2万1237戦4000勝、うち重賞はGI75勝を含む329勝。JRA以外では地方通算194勝(うち交流GI31勝)、海外GIは9勝。1メートル70、51キロ。