無敗の三冠馬ディープインパクトが、17歳でこの世を去った。7歳で旅立った先輩三冠馬ナリタブライアンと比べれば、夭折とまでは言えないが日本の馬産にとっては痛手というほかはない。世界レベルでクラシックホースを量産して、日本では現時点で7年連続のリーディングサイアーに輝いている。

1994年に産駒をデビューさせた父サンデーサイレンスは、「コマーシャルな成功」と「サイアーラインとしての成功」を両立した大種牡馬。最盛時には80頭の後継種牡馬群を擁し、現在でもディープインパクト以外にフジキセキ・ステイゴールド・ゴールドアリュール・ネオユニヴァース・ハーツクライの系統がサイアーラインとして生き残っている。

果たしてディープインパクトも父のような大種牡馬になれるのか。「生産地に溢れかえった父の血を持つ繁殖牝馬群を避けながら、ここまでの成功を収めているのだから既に大種牡馬だ」という見解にも一理ある。しかし結論は概ね30年という「時間のモノサシ」を当てて、じっくりと検証したい。

参考にしたいのは、カナダ産馬で日本に偉大な足跡を残したノーザンテースト。ディープインパクトと同じく馬体はコンパクトで、サンデーサイレンスに破られるまで数々の日本記録を打ち立てた成功種牡馬。100頭つけるなんて考えられない時代に、リーディングサイアー10回の大記録を打ち立てた。

しかし種付け頭数が少ない時代背景(年間の産駒数はディープインパクトの半分以下)と、どちらかというとフィリーサイアーだったこともあり現在はサイアーラインが繋がっていない。来日から30年という「時間のモノサシ」を当ててみると、2005年には有力な直系はメジロライアンしか残っていなかったのである。

ディープインパクト産駒は今年もオークスとダービーをダブル制覇して、とても見えにくくなっている事実を一つ。ディープインパクトはノーザンテーストと似て、どちらかと言えばフィリーサイアーではないか。古くはブレイベストローマン、現代ならクロフネのような典型的なフィリーサイアーではないにせよである。

牡馬で大レースを2勝した馬は4頭(リアルインパクト・ミッキーアイル・アルアイン・フィエールマン)だけで、現時点で3勝以上挙げた馬はいない。これまでの50勝のうち、牡馬24勝に対して牝馬は26勝と牝馬が優位。産駒数が多く、ライバルもディープインパクト産駒という場合も多いけれど気になるデータではある。

冥福を祈りつつ、合掌。

◆竹内康光【馬よ草原に向かって嘶け】
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