トライアルといっても、少し競馬から離れてオリンピックの話。東京オリンピックまであと1年ということで、8月中旬にオリンピックとパラリンピックのプレ大会(トライアル)が行われた。1947年生まれの自分は、前回の東京オリンピックの時は17歳。伊勢神宮のお膝元の宇治山田高校に通うため、山奥から出てきて下宿生活中だった。

通称「ハッピーマンデー法」が出来てからは、「体育の日」もカレンダー上を転々。今年は10月14日になっているが、昔は東京オリンピックの開会式の日を記念して設けられた祝日で10月10日に固定されていた。「スポーツの秋」ということで、日本の秋はスポーツには最適の季節(最近の運動会は6月が増えているらしいけれど)。

昔は夏といっても今ほど暑かったわけではなく、最高気温33℃と聞いたら「暑いなあ」とびっくりしていたもの。「真夏日」という言葉がいつからあるか知らないが、天気予報で「猛暑日」などという言葉を耳にするようになったのはつい最近のこと。8月の暑さが身体に堪えるのは、どうやら年齢のせいだけではないようだ。

ナイター設備のない浦和競馬では、騎手や馬の熱中症が時折見られる。さっきまで乗っていた騎手が急に騎乗を取りやめたりすると、「大丈夫か」と心配になる。物言わぬ馬はもっと深刻で、最悪の場合生命の危機に陥る場合もある。ナイトレースはまだ理に適ってはいるけれど、今夏はナイトレースでも熱中症の騎手が出た。

オリンピックのプレ大会を終えて、競歩の選手からコース変更の申し出があった。時系列がバラバラで申し訳ないが、報道を追いかけるとビーチバレーの選手は「砂が熱くて掘らないとサーブが打てない」とか、「暑過ぎて初めてメディカルタイムアウトを取った」とコメントしているよう。

オープンウォータースイミング競技でも、選手から「水からトイレのような悪臭がする」とコメントが出た。パラリンピックのプレ大会では、水質が悪くなってスイムを中止してデュアスロンに変更するなど本番が心配になるケースが続出している。馬術の選手からも、高すぎる気温に対して見逃せないコメントが出ている。

「競技場内に風が通らず、暑さに弱い馬が心配。」「8時30分の競技開始だったが、すでに気温が高くなっていて馬の反応が明らかにいつも違った。」など、競技の開始時刻を前倒しする要望も出た。人も馬も超一流のアスリート、最大限のパフォーマンスを発揮できるように「アスリート・ファースト」で実施してほしい。


◆竹内康光【馬よ草原に向かって嘶け】
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