【続・馬に引かれて半世紀】◆佐藤洋一郎【続・馬に引かれて半世紀】
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金曜日から月曜日まで4日連続JRA競馬のダンゴを打ち、コラムなどを書き続けたことなど…記憶にない。競馬エイト発刊に携わって以来半世紀、開催日のダンゴもコラムも一回たりとも休んだことはない(父の葬儀=火葬場から民家の電話パルス回線を借りてワープロ原稿を送ったこともある)し、競馬観戦ツアー中の米国からもロンドンからも香港からも、あの手この手で予想原稿を送り続けた。ネットもメールもない時代に時差の大きい海外から、新聞原稿の閉め切り時間に間に合わせていたことを思えば、今回のパニックなどたかがしれている。しかしやはり4連闘は疲れる。

大きなため息をつきつつ、しわくちゃになった10月12日のエイトの終面(1面秋華賞)を開いたら、余白にこんなメモがあった。

The wind is rising we must endeavor to
live. ポール・ヴァレリー 海辺の墓地 堀辰雄 風立ちぬ いざ生きめやも ジブリ
の「風たちぬ」も?

…ああそうだった。【◎】(マルドン・中黒二重丸=確信の◎)ウインドライジズの馬名を勝手に想像して、ヴァレリーの詩をパクった堀辰雄、そのタイトルを孫引きした?

宮崎駿男 そして北原…白秋ステークス。

風(台風)が去り、みな努力して生きていかなければならない、そういうことを「怖がりダイワメジャー」の息子が言っている(18)番枠から大まくりした新潟から凱旋し、同じ7Fのサウスポー・ステージでまたもや、もまれない大外枠を引き当てた。オレも頑張るぞぉ~と矯正具パシファイーアー(メッシュ状の半円型斜眼防具=キックバックの土砂などから目を守り、ブリンカーのように集中力も高める)越しに目を光らせ、腕まくりして疲弊したダンゴ打ちを励ましているように見える。

その隣で中京の重の1200をデッドヒートで勝ち取ってきた★フェルトベルグも腕を撫している。千八でも勝っているこの馬に距離不安を問うことはできない。静まり返った草原をふたたび桃色の風が吹き抜ける。14、15単複&枠連8枠総流し。(順延代替競馬・15日付サンスポ「穴馬絞り」)

実は、この予想コラムが、載るべき紙面から消失していたのである。見開き2頁の競馬面を何度もくまなくチェックしたが、右側1頁の東京単独開催分の馬柱と、高橋源一郎、水戸正晴のコラムはいつもより縮小されて載っていたが、「佐藤洋一郎の★穴馬絞り」はどこにもない。左の1ページはなんと菊花賞の大型馬柱と特集記事で埋め尽くされ(これはおそおらく平常の火曜日付け紙面として用意されていた)、ほかのページをめくっても…あるはずがない。

開催面の二軍(別欄)の予想印が、特別レース以外はカットされている。5R新馬の◎06ミスミドルレッド(元メジロのレイクヴィラ生産。重賞勝ちの祖母などゴテゴテのメジロ血脈で、ウェヴのZBATで(06)単複勝負!と推奨していた)がないのに気がついて、そういうことか。要するの紙面に余裕がなくて割愛(ボツ)されたのだ。50年ではじめて、開催日の予想コラムなしの紙面に遭遇したと知って、むらむらとファイトが湧いてきた。皮肉なことに、こういう想定外の非常時の競馬は荒れる。そして、そういう日の予想がなぜか当たるのだ。

古い話だが、降雪でダートに変更されたのにメンバーも枠順もそのまま敢行された1984年のアメリカJCCの◎シュウザンキング(8頭立て7番人気)と▲ホリスキー(POG愛馬)の(2)(8)4230円の”高配当”をビシッとしとめたときのことなども思い出し、よーし馬券買いに行くぞ!と気乗りしなかった競馬場へ重い腰を上げた。といっても東京は遠すぎる。一風呂浴びて午後からゆっくり出かけても11R・白秋Sの【◎】風立ちぬーは買える。これだけでも十分に潤う。

グリーンチャンネルで5Rの新馬戦を見た。出遅れたわけではなく、ずぶくてついていけない感じだった。でもきっと伸びてくる、2000なのだから…。
よおし来い! デムーロ、メジロぉ~!
 
上がり最速タイの2着。(06)複490円、枠連(6-7)7340円。3連単(07-06-02)4万4930円。

早く行っていれば総取りだったのにぃ~というタラレバはナシ。むしろ意を強くして風立ちぬを確信すべし!

急ぐ必要もなかったが、法典駅からタクシーで木下街道からの裏口を顔パスで通り抜け、事務所脇の小さな通用門からいつもの一階の一般席の売場に直行。10Rにも間にあったが興味も妙味もなし。新潟記念の日に新潟競馬場で導入したUMACAは持っていたが、不慣れで使う気にもならず、かといってマークカードも面倒臭い(寝酒が過ぎていて気合いが入らない)。口頭窓口を覗いて、美女はいないか…まいっか誰でも。

それでも気が引けて、4人のお姉さま方のすべてから順次、単複、枠連(総流し)、馬連、3連単と移動して礼をつくし(?)、♪この道はいつか来た道~なんて、北原白秋の童謡を口ずさみながら気分よく排尿し(もちろんトイレで)、紙コップの渋茶を2つ持って誰も立っていないモニターテレビの前に立つことしばし。霧雨煙る(だっけ?)白秋のゲートが弾けた。

(04)ブルベアトリュフが行き、★(14)フェクトベルクが並んでの3、4コーナーで、おお来た、カラタチのじゃなく桃の花(15)ウインドライジズがパシファイアーで風を切り、自らも大風になって巻き上げてきた。よーしピンク・ピンク、桃色のサンレンタ~ン!の夢は一瞬で消え去ったものの、ピンクの風は最後まで吹き続け、ゴールポールを越えたところでブルベアを交わしていた。が、2着。もし吹き抜けていたら、単(なぜか17倍から12倍に急落していた)はもとより3連単も500円流しで引っ掛かっていた。

枠連総流しはどれがきても最低10万にはなるように計算ずくで抑揚をつけていたし、3単込みの帯封とまではいかなかったが、12Rの(01)スマートサーブルが初CP(チークピーシズ着用)であることを発見し、捨てたつもりで勝った単複3連複流しがなんと的中(複19.3倍、3複584倍)してしまった。

まさにルンルン気分で百花亭に凱旋し、パートの学生3人(ひとりはめんこいベトナム娘)にささやかなご祝儀を奮発したりして、火曜日に初めて暖簾をくぐった平日競馬の独り酒にどどっぷり心酔した。

半世紀も穴をあけたことがない予想コラムが台風19号に吹き飛ばされ、その風ウインドライジズのおかげで獅子座の19日生まれ「天災に強い奇才」のジンクスがよみがえり、あらたな風の予感に武者震いがとまらない。月曜の代替をふくむ3連開催の初日19日に何かが起きる。それを射止めて乱菊を巻き上げる大風に乗り、帯封の鞍を敷いてさらに飛翔する…!?

祐ちゃん先生、「夢は限りなく」ですよね。らじゃ~。


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