暮れの有馬記念は、レーン騎手を背にリスグラシューが大団円。サートゥルナーリアから流して、最後にリスグラシューではなくワールドプレミアに印を入れた自分の不明を恥じるばかり。初コースを理由にアーモンドアイの印を下げたところまではよかったが、同じ理由でリスグラシューを無印にしてしまった。

リスグラシューと宝塚記念→コックスプレートを勝ってきたレーン騎手、有馬記念の騎乗は12月19日に交付された「臨時試験による免許」によって認められた。2019年は既に4月27日から6月25日の短期免許を取得しているので、今回は特例措置ということだろうがスッキリしないのは事実。

「だから乗せるべきではなかった」と言いたいのではなく、「スッキリと乗せてやってくれよ」と言いたいからこの原稿を書いている。地方にも短期免許の制度があるが、短期免許の期間外でも重賞開催日は全国の騎手がフリーに騎乗できるスポット騎乗がある。この制度があってこそ、昨年は吉原騎手が大ブレイクできたのである。

03年に短期免許で騎乗していたミルコは、ネオユニヴァースと皐月賞→ダービーを制覇した。菊花賞には本来騎乗できなかったが、JRAが急遽決めた「同一馬で1年間にGIを2勝以上すれば、その馬が同年にGIに参戦する際に騎乗を認める」という特例で騎乗した。見方によっては、これはJRA版のスポット騎乗制度とも言える。

今回も同じようなケースと思われるが、本来なら鞭一本で世界中どこでも乗れるのが騎手。武豊騎手だってアメリカに拠点を置いた時期があったし、現在も富田騎手と小崎騎手がオセアニアで武者修行中。藤井騎手もオセアニアで免許を取って、シンガポール・マレーシア・韓国だけでなく国内でも道営・南関東で騎乗している。

特例措置を重ねていくのではなく、ただ門戸を開けばいいだけの話。いきなりフルオープンに出来ないなら、段階を踏んでもいいから一歩ずつ進んでいってほしい。ミルコからレーン騎手まで、16年も階段を一段も上がっていないことに愕然とした次第。この16年間にあと一回、変わるチャンスがあったことを思い出した。

ある年の有馬記念で、有力馬の陣営が外国人騎手への騎乗依頼を考えていた。短期免許の期間は年間3ヶ月「以内」だから、1週間だけの取得もルール上は問題ない。だが、同時期に在籍できる短期免許取得騎手の数も制限されていて現在の上限は5名・当時は4名だったと記憶している。

大物オーナーだったこともあってか、ギリギリまでJRAとの調整が進められたが結局叶わず特例措置は講じられなかった。陣営が騎乗依頼を考えていたのは香港のリーディングクラスの騎手だったが、当該馬への騎乗経験はなかった。JRAは16年前から、継続騎乗による競走馬のパフォーマンス向上には理解を示していたことになる。

では騎手が乗り替わることで起こる(かもしれない)パフォーマンスの向上は、考慮されないのだろうか。上限となっている人数に合理的な理由はなく(ないからこそ変更される)、馬主や調教師が馬のパフォーマンスを最大限に発揮させるためにしたいことができないのは正しいことなのか。

その馬はデビュー戦から騎乗経験があった日本人騎手を背に有馬記念を走ったが、掲示板にも載れずに敗れた。日本人騎手の起用に関して今度は馬主と調教師に軋轢が生じて、後にその馬を転厩させる騒ぎにまでなった。スポット騎乗のルールに関して検討がなされていれば、もっとスッキリした今日があったはずである。

◆竹内康光【馬よ草原に向かって嘶け】
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