田中龍作ジャーナル
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 けさ、検察庁前に立った。小雨模様の空はどんよりと暗く、強めの風が肌寒い。この国の近未来を暗示するような天気だった。

 政権(行政)が検察(司法)の人事を支配できるシステムを法的に確立する検察庁法改正案が8日、衆院内閣委員会で審議入りした。

 アベノ独裁はいよいよ仕上げの段階に入ってきたようだ。

 改正案に反対する声が怒涛となっている。「#検察庁法改正案に抗議します」のツイッターデモは300万を超えた(10日午後1時29分現在)。同ハッシュタグを投稿した人々からは、投稿数が数十万単位で削除されているとの声が上がっている。

 削除されても再び投稿し続ける国民と、忖度メディアとの目に見えない闘いが繰り広げられているのだ。


韓国民衆は昼夜の区別なく青瓦台(大統領府)に向けてデモをかけた。=2016年、ソウル 撮影:田中龍作=

 政治を私物化した韓国の朴クネ大統領は、民衆の巨大デモにより政権の座を追われ、逮捕された。人々は政権が倒れるまで街頭に出たのである。2016年、ついこの間のことだ。

 地元メディアがデモ会場周辺の地下鉄の出札記録を調べた結果、参加者は1日で100万人を超えていた。

 朴大統領による政治の私物化は安倍首相に比べれば はるかに スケールが小さい。

 だが日本の民衆は森友、加計、桜で安倍首相を追い詰めることができなかった。安倍首相を政権の座に留まらせた結果、お粗末なコロナ対応で国民が苦しめられるハメとなっている。

 朴大統領を追い落とした韓国民衆の力は、文在寅大統領を生んだ。文大統領の徹底した情報公開と指導力は、コロナ感染の封じ込めを成功に導いた。

 韓国の真逆が日本だった。「コロナになってもならなくても死ぬ」とまで言われるありさまだ。

 この国は亡びるのか、それとも生き残れるのか。いま分水嶺にある。