2年前に当コラムで「種牡馬の成功」という記事に、「種牡馬の成功を見極めるには30年という時間が必要だ」という話を書いた。種牡馬には「コマーシャルな成功」と「サイアーラインとしての成功」があり、それを見極めるのに30年かかるという話でノーザンテーストとサンデーサイレンスを例に挙げた。

1975年に来日したノーザンテーストは、リーディングサイアーに10回も輝いた成功種牡馬。1頭の種牡馬が100頭に種付けするなんて考えられない時代、種付け料も高騰して一時代を築き上げた。しかし来日から30年が経った2005年には、有力な直系はメジロライアンしか残っておらずサイアーラインは繋がっていない。

1991年に来日したサンデーサイレンスは、一時は80頭以上の後継種牡馬群を擁す大ファミリーを築いた。来日から29年経った今でもは古い順にフジキセキ・ステイゴールド・ゴールドアリュール・ネオユニヴァース・ハーツクライ・ディープインパクトの系統がサイアーラインとして活躍馬を送り続けている。

サンデーサイレンスのサイアーラインからは、直仔ディープインパクトとステイゴールド産駒のオルフェーヴルという2頭の三冠馬が輩出している。オルフェーヴルにはドリームジャーニーという全兄がいて、2006年に朝日杯FSを勝っている。この兄弟はノーザンテーストの4×3のクロスを持っているのである。

ノーザンテーストは来日から31年の時を経て、サンデーサイレンスの直系子孫から自身のクロスを持つ一流馬を2頭も誕生させたのであった。30年という年月はサイアーラインとしての優秀さだけでなく、クロスの有効性を測るのにも適したモノサシになる。前述の通り今年はサンデーサイレンスの来日から29年目、遂にその時が訪れた。

2年前の記事で「サンデーサイレンスのクロス馬が大レースを勝つ日はまだ生きていると思う」と書いたけれど、この春牝馬2冠を達成した2017年生のデアリングタクトはサンデーサイレンスの4×3のクロスを持つ馬。これまでもノットフォーマル(2012年生)・キョウヘイ・トラスト(2013年生)が重賞を勝っているが、いずれも3×3。

2017年生では、ブラックホールが札幌2歳S・オーソリティが青葉賞を勝っているがこの2頭も3×4。サンデーサイレンスの「3×3」と「3×4(4×3)」の違いは、青木さんの「競馬通信社ブログ」に譲ることとする。生産牧場の長谷川牧場は今年はJRAで4勝、うち3勝をデアリングタクトが挙げている。まずは、日高の小さな牧場で生まれたヒロインの始動戦を楽しみにしたい。


◆竹内康光【馬よ草原に向かって嘶け】
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