長い間競馬にかかわっていてもさっぱりわからないことがある。調べればいいではないかと思われるだろうが調べようがなさそうな案件もある。

スタート時にスターターがスタート台に上がった時に赤旗を左右に振って合図することは見慣れた光景でありスタートの合図に違いないが、誰に向かってのものかがわからなかったのである。

スターターにスタート時間を知らせるのは開催執務委員からでありスターターがスタンドに向けて合図をするはずはない。

ゲートに入る準備をしている発走係員や騎手に対してというのが妥当なところだが、赤旗を振るときのスターターはゲートの方向ではなく反対側を向いており、そうではないようにも見える。

レースのスタートを見るたびに不思議に思っていた。なかなか想像がつかなかったのである。

スタートの前後で旗による合図は他にもある。スタート時間の数分前にスターターが赤旗を振るがこれは出走馬に対する集合合図である。

スタート直後に別の係員が黄旗を縦に振るが、これは発走の瞬間を時計を計測する係員に知らせる合図だろう。

スタンドにいる計測員はこの降られた黄旗を見てストップウオッチを押すのだと思われる。現在はもちろん自動計測だからその必要はないのだが、万一自動計測が故障したときのバックアップなのだろう。

ところが分からなかった赤旗について先日にあるアナウンサーがスタート前にあの赤旗について説明してくれたのでなるほどと納得したのだった。

ゲートから200メートル行ったあたりのコースの中央に白旗を持った係員が立っている。

この係員はスタートが正常に行われたかった時、つまりカンパイの時に各馬の騎手に向かって白旗を振り馬を止めさせるという役目だ。

しかし騎手が必ずこの合図に気付くとは限らない。特に逃げたい馬の騎手は逃げることに集中している。カンパイが発生することはめったにないから騎手は常にこの白旗に注意しているのだろうか。

それにしてもスターターの赤旗がこの係員に向けてのものといわれればなるほどと納得できる。

スターターがゲートの反対側を向いているのはあの係員に向けてのものとわかる。振られた赤旗を見てあの係員はスタートを知り白旗をスターターに向けて降る。スターターはそれを見て係員がスタートに気付いたことがわかるということだ。




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