いよいよの有馬記念だが今年の場合その感はあまり高くない。ジャパンカップの上位3頭がいずれも出走していないからだ。

ジャパンカップから有馬記念に向かうのは4着のカレンブーケドール、6着のワールドプレミア、7着のミッキースワロー、8着のキセキ程度だ。

週刊ギャロップの予想コーナーでは参考レースとしてエリザベス女王杯、アルゼンチン共和国杯、天皇賞(秋)を掲載しジャパンカップは省略されている。

ファン投票第1位はクロノジェネシスとなったがこれはジャパンカップ上位3頭が早々と有馬記念に出走しないことが伝えられたためで、それがなければ第4位だっただろう。

近年は有馬記念は必ずしも最強馬決定戦ではないのである。

というのは天皇賞、ジャパンカップ、有馬記念という中長距離のG1が続き各馬はレースを選んで使ってくる。

今年この3つのレースを使ってくるのはキセキだけだが、キセキにしてもどちらかを勝っていればそのような使い方はしなかっただろう。

かつては有馬記念は本当の意味でのチャンピオン決定レースだった。それは現在とはレース体系が異なっていたためである。

まずジャパンカップがなかった。というと40年以上前のことになるが、天皇賞と有馬記念は直結していたのだった。

また天皇賞を一度勝った馬は天皇賞には出走できなかった。このため前年や春に天皇賞を勝った馬は有馬記念を最大の目標としていたのである。

3歳馬(当時の呼び方では4歳馬)は天皇賞には出走できなかった。このため菊花賞を戦った馬の次の目標はやはり有馬記念となった。

マイルのG1はまだなかった。強いマイラーは距離を承知で有馬記念に挑戦した。香港国際レースもできていない。

かつての有馬記念は3歳馬、古馬の過去の天皇賞馬、直前の秋の天皇賞出走馬、強いマイラーの全てが集まった真の意味のチャンピオンレースだった。

現在ではもちろん有力G1レースではあるがかつての華やかさとは異なっているのだ。



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