前々回はクロフネの追悼記事を書いたけれど、「最終段落のブレイヴェストローマンという種牡馬が古すぎてわからない」と言われてしまった。1976年生まれの長男に訊いてみたが、「高校生の頃遊んでいた競馬ゲームにいたような気がする。」となんとも頼りない答え。

1972年生まれのブレイヴェストローマンは、競走馬としてはアメリカで重賞1勝と凡庸と言っていい競走成績しか残せなかった。日本にやってきたのは1979年、ノーザンテーストをはじめとした輸入種牡馬全盛の時代。100頭に種付けするなんて考えられない時代に、初年度から61頭の繁殖牝馬を集めた。

初年度産駒からオークスを勝ったトウカイローマン、公営重賞を総なめにしたグレートローマンが輩出する上々の滑り出し。2年目の産駒からもランドヒリュウ(高松宮杯など中距離重賞で活躍)が出て、その後も毎年重賞勝ち馬を送り出した。

第4世代に登場した大スターがマックスビューティで、桜花賞とオークスを勝って二冠を制覇。この世代には牡馬にもオサイチブレベスト(帝王賞)とソダカザン(ウィンターS)が輩出したヴィンテージ世代。この時点からはっきりとフィリーサイアーの傾向が見えている。

その後もカリスタグローリ・メイショウホムラ(ともに1988年生)、オグリローマン・フジノマッケンオー(ともに1991年生)と芝ダートを問わず活躍馬を送り出した。南関東でもアコニットローマン(東京プリンセス賞)・カガヤキローマン(東京盃連覇)・キャニオンロマン(羽田盃)が大活躍。

牡馬にはタフネスを伝えるが、ジリ脚の傾向も強く芝の大レース勝ち馬は現れなかった。牝馬には爆発的なスピードと決め手をよく伝え、桜花賞とオークスで2勝ずつを挙げている。牡馬の例外は圧倒的な決め手を誇ったフジノマッケンオーと、短距離でスピードを見せたカリスタグローリ・カガヤキローマン。

クロフネはダートの短〜中距離を得意とするところ、牝馬に活躍馬が多いことがブレイヴェストローマンとの共通点。スリープレスナイト・カレンチャンはスプリント路線、ホエールキャプチャ・アエロリット・ソダシはマイル路線でG1を勝っている。

南関東でオーナーのアドバイザー役を務めたカガヤキローマンはブレイヴェストローマン産駒、トーシンブリザードも母の父がブレイヴェストローマン。クロフネの仔は一口馬主で出資したが、7歳まで計40戦を走り抜いて長く楽しませてくれた。両馬ともに浅からぬ縁を感じる馬だった。

◆竹内康光【馬よ草原に向かって嘶け】
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